生産者

帯刀りんご農園

帯刀政信さん

受け継がれる先駆者精神販売が難しい西洋ナシに挑戦

「良いものから良くないものまで、すべてお金に換えられるようにする」。〝誤解を恐れずに言うと〟と前置きしたうえで、そう目標を語ってくれたのは果樹農家の四代目、帯刀りんご農園の帯刀政信さんです。果樹農家がまだ珍しかった時代に養蚕農家から転換した曽祖父、リンゴ栽培を中心に行い地域に広めた祖父、「自分でつくったものを自分で売りたい」と直売に切り替えた父．．．．．．、そうした先駆者精神は、四代目の政信さんにも受け継がれています。そのひとつが、帯刀りんご農園の主力作物となっている「西洋ナシ」。先代が実験的に始めたものでしたが、当初はなかなか売れなかったそうです。「熟してから食べるものなので、一歩間違えれば腐ってしまうんです」。それでも政信さんは10年以上かけてデータを取り、「食べ頃」の標記をするようになった結果、一気に売れるようになりました

〝この味でこの値段なら〟納得して買ってくれるリピーター

そんな政信さんですが、子どもの頃は「果樹農家だけには絶対にならない」と思っていたとのこと。しかし、跡を継ぐことを意識したとき「これだけ大勢の顧客がついているのに、やめてしまうのはもったいない」と気づきました。実際、農園には２０００件以上の顧客がおり、そのほとんどは口コミで広がっていったリピーターでした。「Ａ級品が売れるのは当たり前。ですが、その影にあるＢ・Ｃ級品でも〝この味でこの値段なら〟と納得して、自家用に買ってくださるお客さんが多いことが、うちの強みです」。